お知らせ・報告

【報告】3/5(木)・6(金)講座「カッパが見た『あそび』の世界」

2015/03/27

 

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当ホームページ上にて開催を告知しておりました天野 秀昭 さんによる講座「カッパが見た「あそび」の世界〜大人が子どもの遊び場にかかわる意味を考える〜」を、去る3月5日(木)・6日(金)無事に開催することができました。両日ともに多くの方々に参加していただき、たいへん有意義な講座となりました。皆様、ありがとうございました!

 

3月5日(木)

 

3月5日(木)は31人の方が参加してくださいました。この日は子どもが心から「したい」と感じる遊びに秘められた可能性、都市化の子どもの遊びへの影響、都市にプレーパーク(=冒険遊び場)があることの意味について、天野さんからお話を聞くことができました。

 

心から「したい」と感じる遊びの可能性

天野さんによれば、子どもが心から「したい」と感じる遊びには、子どもの育ちにかかわる可能性が秘められているといいます。なぜなら子どもは自分の限界に挑戦することで、これまでの自分では出来なかったことに向き合い、自らを育てるからです。このような限界に子どもが主体的に挑戦するのは、それを心から「したい」と感じたときです。子どもが「したい」と感じた遊びには、このように限界に挑戦することで生まれる育ちの可能性が秘められているのです。

 

都市化と子どもの遊び

しかしながら都市化の進んだ日本では、子どもが「したい」と感じた遊びを思う存分楽しむことが難しくなっていると言えます。なぜなら都市では、それ以外の環境と比較して大人の目が細部まで届きやすいからです。大人と比べて立場の弱い子どもは、大人が「してはいけない」と決めた遊びであれば、その意思に逆らうのが困難です。このことが、大人の前では大人の認めた遊びだけをするように、子どもを変えているといいます。そこでは子どもは、たとえ「したい」と感じた遊びであっても、大人が「してはいけない」と決めた遊びであれば、我慢してしまうのです。

 

プレーパークの意味

そのため今、「したい」と感じる遊びを子どもが思う存分楽しめる場としてのプレーパークの、都市における重要性が高まっています。プレーパークでは子どもの「したい」を尊重するため、相反することを「したい」と思う子どもどうしの衝突も時として起こります。しかしながらこのことは、どのようにすればお互いの「したい」が共存できるかについて子どもたちが考えあい、育てあう機会ともなります。また、活発な外遊びは自律神経系・免役系・内分泌系を刺激し、子どもの体を内側から健康にすることを明らかにした研究もあるといいます。

 

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3月6日(金)

 

3月6日(金)は25人の方が集まってくださいました。この日は『地域の子育て講座』と題しまして、子どもにとっての遊びの意味や大人が子どもの遊びに関わることの重要性、その意味について、天野さんから学ぶことができました。

 

子どもにとっての遊びの意味

子どもは屋外で遊ぶことによって多くの経験をします。例えば、水たまりに手を突っ込んでみたり、泥遊びをしてみたりです。この遊びから子どもたちは「冷たい」「ドロドロ」「スベスベ」などといった感覚を五感で感じることができます。また、水遊びだけでなくのこぎり・金づちを使った木工作、高い所からのジャンプなど、大人が見ているとついつい止めたくなってしまうような遊びの中からも多くの経験をして学びます。天野さんによると、これらの多様な経験は外遊びならではのものであって、「安心・安全」に整備された環境やおもちゃでは感じにくいといいます。「安心・安全」を目指して作られたものは、「柔らかい」「丸い」などの要素で作られており、「固い」「ごつごつ・ギザギザ」などの危なそうな要素は排除されがちです。「固い」という感覚は固い物から得られます。「柔らかさ」を知るためにも「固さ」を知ることは大切です。そのような様々な感覚を、子どもたちは遊びの中で自ら選んで経験していきます。子どもにとって遊ぶこと、その中で様々な経験をすることが成長の上でいかに重要か、ということを学ぶことができるお話でした。

 

大人が子どもの遊びに関わることの重要性やその意味

現代社会において、子どもがしたいことをして思い切り遊ぶためには、周囲の大人の理解が必要不可欠です。子どもは「自分のしたいこと」を無心に追及していきます。いろいろな遊びをするからこそ、様々な経験を得ることが出来ます。しかし、大人が自分の価値観を押し付け、遊びを制限してしまうと、子どもは自らの実感を伴って経験することが出来ません。大人の考え方ひとつで子どもの遊びに大きな影響を与えてしまいます。「危ない・汚い・うるさい」というのは子どもの遊びにつきものです。大人としては止めたくなるような場面もあるのですが、子どもが「危ない・汚い・うるさい」遊びを通して成長しているという事にも目を向ける必要があるのです。大人は子どもにとって「遊びの世界を制限する存在」でもありますが、「遊びの世界を広げる存在」でもあります。子どもの「やってみたい」という気持ちを受け止め、自由な発想を妨げられずに遊べる環境を社会の中につくることができるのも大人です。少子化が進み子どもの数が年々減っており、相対的に多くなった大人の目が、少なくなった子ども達に集まってしまっています。大人の価値観でしか子どもを見ない大人たちばかりでは、子どもにとってとても息苦しい社会になってしまうでしょう。そんな中だからこそ、子どもの遊びの意義を知っている大人がまわりの大人に「あそび」の重要性を伝え、知ってもらう必要があるのです。

 

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なお、両日とも様々な形で子どもに関わる方々が出席され、講座終了後には会場のあちらこちらで交流する姿が見られました。今回の講座が、みなさんが出会いつながっていく機会になれたこともとてもうれしく思います。

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