お知らせ・報告

【活動報告】子どもにかかわる支援者のために ~がんばりすぎない支援のあり方~

2012/12/17

 

当ホームページ上にて開催を告知しておりました「子どもにかかわる支援者のために ~がんばりすぎない支援のあり方~」を、去る11月20日(火)無事に開催することができました。定員30人のところ、29人が集まり、たいへん有意義な会となりました。皆様、ありがとうございました!

第1部の講演会では、小林純子さんNPO法人チャイルドランみやぎ代表理事・災害子ども支援ネットワークみやぎ代表世話人)を講師に迎え、ひとり親家庭の増加を背景とした貧困・虐待・ネットいじめ・精神疾患・自傷行為・早い性交渉・離婚…といった負の連鎖から子どもを解き放てるような環境を構築していくことの重要性について講義して頂きました。また、パーソナルサポートという新しい支援のあり方、被災地域における子ども支援の現状・課題、それらに対する民間団体・行政の動き、支援者の研修の重要性、遊びの持つ力など、多岐に渡る内容について語って頂きました。

第2部のシンポジウムでは、小林さんに引き続きコーディネートして頂きながら、新たに田中雅子さんNPO法人メイクザヘブン め組JAPAN、佐々木 啓子さん西公園プレーパークの会プレーリーダー)、そして冒険あそび場ネットのプレーリーダー斉藤信三NPO法人プレーパークせたがやからの派遣スタッフ)もシンポジストとして加わって、被災地域に求められるがんばりすぎない支援のあり方とはどのようなものかについて語り合いました。被災地域では今、がんばりすぎた支援者がリタイアしてしまう問題が起こっています。それを回避する手がかりとして浮かび上がってきたキーワードは、【仲間の力】【ともに歩む支援】【子どもの力】の三つでした。

 

 【仲間の力】

震災直後、自分にできることを探し続けてがんばりすぎていたという佐々木さんは、参加している子どもの遊び環境学習会の仲間と集まって、やっと自分のペースを取り戻せたといいます。そこではとにかくお互いの話を聞き合い、その百人百様の内容を受け止める中で、自分の気持ちを客観的に捉えることができるようになっていったといいます。

田中さんは支援のため震災直後の石巻に入って活動を続けたそうですが、「自然な流れ」に任せてきたので、ストレスはあまり感じなかったそうです。それは所属していた支援団体の中で守られていたからかもしれないといいます。一人で被災地に来るには不安もあり勇気がいる、組織のバックがあったからこそ活動することができたといいます。

震災から1年以上経って「経験者の派遣」という形で仙台に来た斉藤は、人員が1人増えることだけでも大きかったのではといいます。東京からきた斉藤が目にしたのは、震災後の通常とは全く違う形で展開する様々な業務を、スタッフが兼任しながら回している現場の多忙さでした。自分が「プラスワン」として現場に入ると、単に頭数の問題だけでなく、他のスタッフが「休んでもいいんだ」と思える精神的余裕も生まれてきたといいます。

 

【ともに歩む支援】

田中さんは支援の現場で、被災者が「したい」という気持ちはあるけれど生活再建に必死で物理的に無理なところを話し合いの中で見つけ、請け負っているといいます。いま取り組んでいる黄金浜ちびっこあそびばでは、おじいちゃんおばちゃんも差し入れを持ってきて、子どもの様子を見ながら、おしゃべりをしていくそうです。子どもが遊ぶとうるさいとか、ボールが飛んでいくと言って、怒ってくれるおじさんがいたけれど、最近はそのおじさんの言い方にもゆとりがでてきて、少しずつ認めてもらえてきたのかも知れないといいます。

斉藤は「押し付けがましいことはいけないと思っている」そうです。何かを押し付けるのではなく、ただ横にいる。そのことが自然な関係をつくり出していくといいます。「そばにいる」というメッセージを出し続けてきたといいます。

 

【子どもの力】

小林さんによれば、「子どもの場所を作ると住民の人もハッピーになれる」といいます。

田中さんは、宮城県石巻市鮎川で被災した子どもたちと映画館をつくった際、子どもが笑っている姿を見て保護者が言った「子どもたちの笑顔を見ると元気になる」という言葉を紹介してくれました。

近くに民家の無い仮設住宅に住んでいるというフロアの方からも、「子どもがいる家庭が次々と引っ越していくので、残された子どもに遊ぶ相手もない。引きこもってしまうのではないかと心配。誰かが変わりに見守るというのができない。周りの大人たちにこどもが大事なんだということを伝えていけるといい」という声が上がっていました。

 

今回の会では、がんばりすぎない支援を実現していくための以上のようなヒントが得られた他、子どもと支援者のあいだのコーディネートの重要性、支援者の研修・自己チェック体制の確立が急務となっている現状、今後撤退する支援団体が増えていくことへの対応の必要性、マスメディアに対して子どもの立場に立って対応することの意味、被災者の中ではまだ震災は終わっていないという意識の再確認、親をなくした子どもの遺産管理に関する支援体制の拡充、被災者間の情報格差の是正、長期に渡る避難生活を強いられている福島の子どもたちへの支援、彼らへの差別への対応などについても意見が交わされました。

 

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